マレーシアで起業するなら Win-Win にあらず三方よし

マレーシア起業で大成功している実業家と話をしている時に、かなり参考になる教えがありました。日本人がマレーシアで起業するなら、Win-Win などとカッコ悪い事をすることも無いでしょ、と言うのです。

もちろん、それを聞いた瞬間 (。・д・。)ハイッ?という感じです。

色々と枝葉の教えもあったのですが、まずは「Win-Win などとカッコ悪い事をすることも無い」という教えの部分をまとめて見ることにします。

Win-Win と言うのは、1996年に出版されたスティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』で紹介されて、日本人にもビジネス用語として出てくる様になった概念らしいのです。こちらの本は、必ず読んおきたい本の一つですが、我々日本人が、日本に古(いにしえ)より伝わる『三方よし』という概念から、わざわざダウングレードして考える必要もないというのが前提にあるようです。

ちょっとだけ、Win-Win について説明すると、売り手と買い手がお互いに満足できる提案や解決策でお互いに満足する結果を得る事という考え方になります。相手の足元を見たり、立場を利用して無理やり自分だけ利益を得るという事をするなという話。

つまり相手から利益を奪うのではなく、お互いに利益を得る様に考えましょうという、とても良い考え方。ヽ(*´∇`)ノ

ところが、マレーシアという国の文化や歴史背景を考えると、Win-Win は、カッコ悪いだけだけでなく、結果的に自分の首を締めることにもなりかねない。。。と言うのです。

マレーシアは、世界的にも珍しい、ブミプトラ政策という、多数派民族の優遇政策をとっている国です。その政策についての議論はおいておいて、現状は、優遇されているマレー系の人たちが、少数派の中国系に不満を抱いているという背景があります。(ちょっと、おかしな話ですが、政治的なプロパガンダもあります。それに対して、もちろん中国系も不満があります。)

そういう背景において、大きなプロジェクトなどを、マレー系企業ではなく、マレーシア華人系企業も差し置いて、日系企業に仕事を出すとは、どういう事だという不満も大きくなって来ているのです。こういう事も敏感に感じねばなりません。

それに輪をかけて、最近の日系企業は小さな仕事でも、日系企業だけで固まって、マレーシアでビジネスをしながら、利益は日本人だけで回しているという不満がくすぶっているのです。マレーシアの人から見ると、日本でビジネスすれば良いから、出て行けという話です。当然ですよね…

そこで出てくるのが、『三方良し』という、日本の古(いにしえ)より伝わる考え方。三方良しは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」と言って、「売り手の都合だけで商いをするのではなく、買い手が心の底から満足し、さらに商いを通じて地域社会の発展や福利の増進に貢献しなければならない。」という近江商人の心得です。

つまり、Win-Win に、もうひとつ「世間良し」が加わっている概念になります。我々日本人が、古(いにしえ)より伝わる心得を、ダウングレードして考える必要性は全く無いのです。

マレーシア起業で大成功している実業家から、お前は他の日本人とだけ楽しくやっているのでは無いだろうなと、お叱りを頂いてしまったわけです。

これから、マレーシアには沢山の日本人がやって来ることになります。すでに、マレーシアの世間では、日本人に対する不満の声も出てきているのに、その不満が爆発した時に、お前も他の日本人と一緒になって富だけ持って日本に帰って、マレーシア起業で成功したと言うのか?と言われてしまいました。

マレーシアには、日本人の名前がついた道路が存在するのを知っているか。「ダト」や「タンスリ」なんかより、半端じゃ無~くマレーシアに貢献した人たちの名前だと言うのです。戦前マレーシアには、大和魂「和を以て貴しと為す」と貢献した人達がいたのです。

「三方良し」の視野の広さも考えよとの事でした。会社であれば「上司良し」「部下良し」「会社良し」。視野を広げれば、世間は、マレーシアだけでなく、「日本とマレーシアの関係」、さらには、「世界」と広がるとの事です。

マレーシアで起業したからには、日本人として世界の役割を踏まえた上で、マレーシアにも貢献したいものです。マレーシア起業成功の奥義の一つは、『マレーシアで起業するならWin-Winにあらず三方よし』

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