世界の事業家向けのオンラインマガジン『CEOWORLD magazine』にて、『2019年 投資と事業のワールド・ベスト・カントリー(World’s Best Countries To Invest In Or Do Business For 2019)』が公開されています。
その中で、世界ランキング1位にランキングされているのが、マレーシアになります。住んでいる人であれば、マレーシアはビジネスや投資に向いているという感じを受ける人も多いと思いますが、実際にスコアでランキングを見てみると実に納得できると思います。
理解しやすいように、マレーシアと日本だけを抜粋して比較表にしてみると次の通りです。
国 | マレーシア | 日本 |
---|---|---|
ランキング | 1 | 32 |
スコア | 85.8 | 67.5 |
経済的安定 | 50 | 65 |
政策方針 | 57 | 62 |
熟練労働力 | 76 | 61 |
制度的枠組み | 58 | 73 |
教育及び研究 | 65 | 59 |
市場潜在力 | 76 | 84 |
貿易の開放性 | 53 | 67 |
我々日本人は、全てにおいて世界で一番のような錯覚をしているところがありますが、投資と事業のワールド・ベスト・カントリーでは、マレーシア1位に対して日本は32位。スコアで比較しても18.3ポイントの差が出ているので、マレーシアの方が事業と投資をする上では、十分に優れているということになります。
ある特徴にフォーカスした項目だけをみると、経済大国3位の日本でありますから軒並み高ポイントである事は間違いありません。しかし、その経済大国3位の日本より、マレーシアの方が事業と投資に向いている魅力的な国であるという評価が出ているのです。
その中でも注目しておきたい項目二点ほど。一つは『熟練労働力』、この熟練労働力というのは、伝統工芸などの職人ではなく、生産力となる労働力の事を指しています。製造業においては機械化が進んでいるので、主に建設業などの労働力を指すことになります。
日本においては、建設・建築業の労働力の需要と供給のバランスから、労働者の賃金が上がっています。『職人』や『匠』と、も持て囃される事もありますが、実態は日本の製造業が優れているため、熟練の技を必要としない建築資材や材料、道具などに依存していて熟練労働力は格段に落ちています。それに対して、マレーシアは、建築資材や材料よりも熟練労働者の技術によるところが大きいため、熟練労働力のポイントが日本より遥かに高くなっていると思われます。
もう一つ、注目したいのは『教育および研究』です。日本のゆとり教育というのも反映されているとは思いますが、マレーシアの小学生、中学生をみていると非常に勉強時間が長いですし、大学を訪れても、研究ということに真剣に取り組んでいるのが感じられます。
これらの2つの項目をみていると、実態が良く反映されているランキングになっていると感じます。これらのデータを見て、どの様に読み解いて、どの様にビジネスに活かしていくが重要になります。
日本人がマレーシアで起業するのであれば、後からやって来る日本人から利益を得るのではなく、世界で最も事業と投資に向いているマーケットであるということを理解し、マレーシアの経済発展に繋がるように取り組んで行く事で、大きなリターンを得られると確信します。
『熟練労働力』と『教育および研究』で劣る我々日本人が、マレーシアで活躍するには、多くの先人達が築き蓄積してきた信頼と経験に裏打ちされた義理、人情、謙虚さと侠気(おとこぎ)にあることでしょう。実務的には、俯瞰する能力を基づく適応力と先読みといったところでしょうか。