小切手のリスクと悪用トリック

先日、ウチの社員が受け取ってきた小切手が不渡になった話を、こちらの記事『小切手(PDチェック)の不渡り』に書きました。

今回の小切手(チェック)が不渡りになったのは、先の日付が原因での不渡りではないのです。実は、この先日付小切手(さきひづけこぎって)ならではの小切手(チェック)の特徴を利用したトリックがあるのです。

今回の小切手(チェック)は、実は振出人によって、なんと支払いの中止がされていたのです。

通常、振出人が小切手(チェック)の支払い中止をオーダーするのは、小切手(チェック)の紛失が有ったときになります。

稀に受けたサービスや商品に満足せず金銭トラブルになった場合、支払いを中止する場合もあるかもしれませんが、その場合、あえて先日付小切手(さきひづけこぎって)を振出しているケースは少ないと思われます。

先日付小切手(さきひづけこぎって)を振出しておくのは、それなりの理由があるのです。

通常は、先日付小切手(さきひづけこぎって)を振り出す側にもリスクがあるのですが、マレーシアにおいては、そのリスクが無いのが現状です。通常、小切手(チェック)は、日付に関係なく現金化でき、受取人との約束のみでなりたっています。

しかし、マレーシアにおいては、銀行側で先日付小切手(さきひづけこぎって)の受取を拒否します。ここがポイントです。

つまり、先日付小切手(さきひづけこぎって)の振出人にはリスクが無いのです。そのため、先日付小切手(さきひづけこぎって)を受ける時には、十分な注意が必要なのです。

この先日付小切手(さきひづけこぎって)のトリックを説明しますと、こういう事です。なお、先日付小切手(さきひづけこぎって)のことをPost-Dated Cheque を省略して、PDチェックと言います。

Contents

PDチェックのトリック・ステップ1
受取人を支払いの意思を見せる

先日付小切手(さきひづけこぎって)を振り出すと、受取人の多くは、支払い意思があるのだと安心してしまうようなのです。これは、マレーシアにおいてサービスや商品を提供した後に、支払いを拒否されるというケースが多々見られた背景があるのかもしれません。

これは、受け取り側の心理を上手く利用するトリックです。小切手(チェック)に不渡りが起きても、振出人を信用してしまうかもしれません。

PDチェックのトリック・ステップ2
振出した小切手のキャンセル

振出人は、記入した日付の前に、小切手(チェック)の振出の中止のオーダーを銀行に出しておきます。記入した日付の後ですと、受取人に現金が渡る事になりますので、その前に振出しの停止を行います。簡単に言うと、小切手(チェック)をキャンセルしておきます。

キャンセルしておかないと、口座の資金がショートしている場合、一時的または恒久的に銀行取引停止になってしまうためです。もちろん、資金がショートしない場合でも、キャンセルする場合もありえます。支払いを先延ばしするためですね。

PDチェックのトリック・ステップ3
受取人を心配する様子を見せる

次に、振出人が行うのが、先日付小切手(さきひづけこぎって)の日付の当日に、受取人に電話を入れ、小切手(チェック)が入金されたか確認の電話をします。マレーシアの小切手(チェック)が不渡りを出すのは、一度入金された後になります。ちゃんと、入金されたのか受取人に確認する優しさを見せるのです。

受取人は振出人が心配してくれてると考えてしまうのです。そうすると、小切手(チェック)が不渡りを出しても、受取人は何か不測の事態がおきたのだと、穏便に済まそうとする事が多い様です。これは、マレーシアならではかもしれません。

PDチェックのトリック・ステップ4
小切手の額面が口座に入金される

マレーシアの小切手(チェック)は、振出人や小切手(チェック)に問題があったとしても、一度入金されるのです。銀行の方での確認は、入金後になるのです。(よく口座を見るとフロートとなっております。)

その小切手(チェック)や振込人の口座に問題があると、フロートされた後に、入金されたお金は銀行に戻ってしまうのです。

PDチェックのトリック・ステップ5
キャンセルされている小切手の不渡り

そうしますと、小切手(チェック)は既にキャンセルになっているので、当然、口座に一度入金されたお金は、銀行に戻されてしまいます。その後、銀行から連絡を受けて、小切手(チェック)が不渡りを出した事を知る事になるのです。

PDチェックのトリック・ステップ6
受取人からの振出人への確認

当然、受取人は、振出人に確認すると思いますが、このステップを踏まれている、受取人は相手が意図的に不渡りするようにキャンセルしたとは考えない様なのです。

この時の反応に注意を払っておく必要があります。意図的でなければ、小切手(チェック)の振出人は大慌てするはずですが、冷静な対応であれば、知っていた可能が高いですから意図的であったと考えられます。

当然、小切手(チェック)がキャンセルされている時点で、意図的なのですが、一応、理由を聞いてみると、その振出人の真意がわかります。


これが、先日付小切手(さきひづけこぎって)を受け取るリスクです。

顧客の支払い意思の確認は、先日付小切手(さきひづけこぎって)ではなく、注文を受ける時に他の方法で確認するのが好ましいです。先日付小切手(さきひづけこぎって)は本来推奨されない方法ですので、あえて受け取る必要はありません。

サービスや商品の提供が完了した時に、振出の日付が当日またはそれより前の小切手(チェック)を受取たいものです。

今回、マレーシアならではの小切手の悪用方法を書きましたが、まさか、悪用なんてしないですよね。笑。

たまに悪用する人いそうですが、先日付小切手(さきひづけこぎって)のリスクとトリックを知って、要らぬトラブルは避けるきっかけになればと記事にしました。

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