新型コロナウィルス・ロックダウン悪用した詐欺


新型コロナウィルスによる、マレーシアのロックダウンで外出できない事を悪用した電話による詐欺が横行している。私だけでなく他の日本人も無差別にターゲットとしている様だ。

日本でも封鎖(ロックダウン)が行われれば、同様の詐欺が横行するかもしれない。詐欺に掛かるなんてあり得ない方は、ストーリーの一つとして読んで貰えればと思う。

 

マレーシアのロックダウン5日目、 MCAA (Malaysian Anti-Corruption Commission レーシアの腐敗防止委員会) と名乗るところから電話が掛かってきた。

ここは政府機関の一つだ。マレーシアが長い事とマレーシアに地に足をつけて事業を行っている事もあり、まれに政府機関から直接電話が掛かってくる事もあるので、話を聞く事にした。

電話の対応してくれたオフィサーから聞かされたのは、私のパスポートを使ってトレンガヌ州で会社(ビジネス)が設立され、その会社(ビジネス)が倒産しているが、該当の会社は私の会社であるかと言う問い合わせだった。

マレーシアで会社を何社か設立しているし、数ヶ月前にも会社を設立していた。しかし、どれもクアラルンプールで会社を設立しているため、トレンガヌ州では会社の設立した事は無い。

その該当会社(ビジネス)は、私の会社では無い事を伝えると、調査に協力してもらいたいと言われる。調査するには、ポリスレポートを提出してもらう必要があるとの事だった。

 

ポリスレポートを出すために、該当の会社の情報をメモを取らされる。メモが面倒なのでWhatsAppで送ってくれと頼んだが、それはできないとの事だった。

メモした内容は、MCAA の担当者名、担当者IC、CASE NO. 該当の会社名、登記番号、登記日、会社住所。

確かに、会社設立には、パスポートのコピーがあれば、他人でも作れないことは無い。会社設立を何社もしてるから、パスポートのコピーは出回っていても不思議ではない。かなり面倒な事になった。

MCAA のオフィサー言うには、『ロックダウン』中で外出は禁止されされているから、トレンガヌ州の警察に電話を転送するという事だ。

 

そして、トレンガヌの警察署に電話が繋がり、手短に要件を伝えると、正式な案件として、トレンガヌの警察署から電話をするから、その番号を確認した上で電話に出るように指示される。

Google で、『IPK Terengganu』で検索すると、警察署の電話が表示される。IPK は、Ibu Pejabat Polis Kontinjen Terengganu の略だ。トレンガヌの警察本部の事になる。

その電話番号を確認し終わった直ぐ、該当の電話番号から電話が掛かって来る。そして、これからの会話は録音するので、虚偽の内容を話さないようにと念を押される。

 

再度話すのは面倒くさいと思いながらも、改めてポリスレポートを取るための内容を報告する。すると、どうやら、私の名前で作られた会社で、ドラッグの密売のマネーロンダリングに使われているというのだ。。。

当然、動揺したが、私じゃないという意味で、更に輪をかけて、かなり大げさに動揺を表現しておいた。いやいや、それは私では無い。

様子を理解したようで、調査に協力してほしいということだった。マネーロンダリングに使われている可能性があるので、口座を保持している銀行を聞かる。口座を保持している銀行を伝える。

 

報告の内容は、現在調査中の事件との事で、そこの警察署の称号を持つ署長に代わるから、一から事情を説明して、アドバイスを聞くようにと言われる。失礼の無い様に丁寧に対応する様にとの事だった。

言葉には出さないが、あぁ出た、称号ダト。ダトですか。日本人でもダトの称号を持つ人は、トラブルしか持ってこない、と思ってしまう。由緒あるダトには、大変に申し訳無いのだが、今までの経験から、ついついそう思ってしまった。

本当に尊敬と感謝できる称号ダトを持つ方もといらっしゃるのだが、そうではないダトが結構な人数存在する。称号に関する話を聞けば、どちらか判断はできるが、このタイミングで聞くことはできない。

 

称号ダトを持つ署長に電話が変わると、そこそこ威厳のある声で要件を聞かれる。いや、むしろふんぞり返った話し方である。内容を途中まで話すと、どの案件なのか理解したという様子だ。質問に答えた上で、全面的な協力をお願いしたいという事だ。

質問の内容は、調査の為に数ヶ月から数年の口座の凍結と、協力して2時間の凍結のどちらを選択するかなど、私に都合の悪い選択肢と、都合の良い二者択一の質問を、いくつかされる。

その選択肢なら、誰もが自分に都合の良い選択肢を選ぶだろう。その流れからすると賄賂の要求ではないだろうか。

 

そして、全面的な協力できるかと念を押される。その間に、ポリスレポートらしきものが、WhatsApp に送られて来た。内容を確認する時間を与えられるが、マレー語だったのでさっぱり理解する気は無い。

後で確認すると私が容疑者にだという内容だ。正直なところ、全面的な協力をする理由は全く無いし、どちらかと言うと恐喝みたいだなと感じる。賄賂を払え、払わないと銀行口座凍結するぞ、みたいな印象だ。

内容を理解したかとの事と、全面的な協力の再確認される。ポリスレポートと思い込んでいたので、理解した旨と全面的な協力への同意をする。

 

そこから話しが進むと、ドラッグディールのマネーロンダリングに使われている銀行口座調査のために、銀行口座のユーザー名とパスワードの確認に移った。

称号ダトを持つ署長から、私が保持している銀行のユーザー名とパスワードを提示される。しかし、それらは、全く該当するものでは無い。全く違う旨を伝えると、正確なユーザー名とパスワードを聞かれる。

それは、さすがに銀行に確認を依頼してくれとお願いする。何度も問われるものを拒否していたら、ダトは時間を無駄にされたと怒っているような事を言ってくる。誰が、電話を転送した来たかと問いただしてきた。いや、聞いたのだが、覚えていない。かばっているわけでは無い。

すると、担当者を許さないみたいな事を言いながら、電話がどこかに転送される。

 

どの様なご用件でしょうかと聞かれるが、また、最初から説明だと思い面倒くさいと思っていたら、名前を聞かれて、もとの担当者との事で、どの案件か理解した様子だ。

しきりに、署長と何を話したか聞いてくる。何故、私が口座情報を教えるのを断ったのか聞き出したいようだったが、話した内容を私から伝える事はしなかった。

しかし、電話を待たされ向こうで誰かと話している、署長と話してたとの事だ。そして、なぜ口座情報を教えないのかという質問が繰り返され、警察署からの電話が信じられないのかと問われる。

正直 Google で調べた内容を信用することは無い。アルゴリズムで正確な情報を表示する様にしているだけで誤りも多いことを知っている。その担当者には、Googleの様な世界的な会社の情報を信じないやつは、初めてだと言われるが、それが性分だから仕方ない。

 

当然、詐欺電話の疑いはあるのだが、内容が本当であった場合のリスクが考えられる。そのため、正規の捜査に従って銀行口座を凍結されるのも止む得ない旨を伝えた。

これから警察署に私が出向く旨を伝えると、ロックダウンだから外出はするなと指示される。4時間後にトレンガヌ警察署から署員を向かわせるという。彼は逮捕すると匂わせているのだ。

仮に内容が真実であっても、正規の捜査に従った方がトラブル少ないという判断、経営者としては社員を守る責任があるので、電話口での捜査協力は拒否する決断をしているのだ。

それに、冒頭でも書いたがマレーシア長い事とマレーシアの地に足をつけて事業をしているので、ネットワークもできているし、信頼しサポートしてくれるローカルの知人も多い。

4時間もあったら、逃げることもできてしまうというと、2時間で行くと言う。いや、2時間でも十分逃げられるぞと言うと、直ぐに来ると言う。着替える時間は欲しいと言うと20分後に来ることになった。

そして、それから、すでに8日が過ぎようとしている。

 

ほとんどの人には、最初の電話に対応しなければ詐欺に掛かる事も無いでしょう。でも、マレーシアの地に足をつけて事業をしていれば、こういうトラブルもあり得る。今回は、詐欺で良かったと思う。

今回の詐欺のトリックの解説と対策は、興味がある人が多いのであれば記事にしようか。会社名など実在する情報を元にマニュアルが考えられている詐欺だから興味深い。

 

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