小切手(PDチェック)の不渡り

マレーシアで起業したり会社を経営していると、銀行の小切手(チェック)を受け取る事もあると思います。それが、稀に銀行に持っていっても入金(換金)できない事を経験する事もあるかもしれません。

俗に言う小切手(チェック)の不渡り。そして、ウチの会社で経験した先日付小切手(さきひづけこぎって)にまつわる失敗談。。。

実は、ウチの社員が先日、顧客から先日付小切手(さきひづけこぎって)を意気揚々と受け取って来ました。本人は、支払期日前に支払いを受けてきたと、小切手(チェック)を持ちながら得意満面で帰ってきたのです。

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先日付小切手とは (Post-Dated Cheque)

先日付小切手(さきひづけこぎって)というのは、小切手(チェック)の日付を書く部分に、当日より先の未来の日付を書きます。つまり先の日付けを書いた小切手(チェック)の事になります。英語では、Post-Dated Cheque やPD Cheque (ピーディーチェック) などと呼ばれます。

一般的には、先日付小切手(さきひづけこぎって)を銀行に持って行くと、日付に関係なく入金(換金)できるのですが、マレーシアの場合は、先日付小切手(さきひづけこぎって)を銀行に持ち込むと、法律とは関係なく運用の観点から銀行で拒否されるのが一般的です。

窓口で運良く受け付けてもらったとしても、その後の処理で不渡りになります。なお、先日付小切手(さきひづけこぎって)は、取扱する上では可能ですが、それを目的とした仕組みでは無いため、当然、非推奨なものになります。

ウチの社員が得意満面で受け取った当日、本人の自信を失わせないために、本当に大丈夫なのかと確認だけをします。そして、その一週間後にリスクについて説明をしました。

でも、本人は、何も受け取らないよりは、先日付小切手(さきひづけこぎって)でも受け取った方が断然良いと思い込んでいるので、全くそのリスクを認識できない様子。

先日付小切手が不渡りになるまで

先日付小切手(さきひづけこぎって)は、書かれた期日前にも持ち込んでしまうと、マレーシアでは不渡りになるため、期日になるまでじっと待ちます。

さらに二週間が経過して、やっと先日付小切手(さきひづけこぎって)に書かれていた期日になったので銀行の Cheque Deposit の機械から小切手(チェック)を入れにいきます。

その後、オンラインバンキングで小切手の入金状況を確認しますと、銀行口座に入金されますが、ワンデーフロートなどで一旦保留されます。

ここで安心してはいけません。一見すると入金処理がされた後に、小切手の内容が確認がされるのです。口座入金を確認した翌日に、小切手の問題があると、一度入金されたお金は銀行に戻されてしまうのです。よく口座を見るとフロートとして保留されています。

そして、そのウチの社員が受け取ってきた先日付小切手(さきひづけこぎって)で、悪い予測をしてしまったとおり事故が起きてしまいます。

トゥルルルル~
銀行からiPhoneに一本の電話が入ります。

銀行員:あなたの小切手はリターンされました。
私:ΣΣ(゚д゚lll) (悪い予測が実現してしまった。。。)

銀行員:振り込んだ小切手を受取に来て下さい。
私:どこに行けば良いですか?(本当に銀行からなのか念のため確認)
銀行員:○○○○支店にお願いします。(小切手を持ち込んだ支店)

一大事という雰囲気は全く無く、流れ作業の様に会話は進みます。。。

小切手が不渡りになる原因

  1. 小切手を振出した口座の残高の不足
  2. 小切手に署名が無い、または異なる署名
  3. 先日付小切手(さきひづけこぎって)
  4. 有効期限切れの小切手(通常は発行日から6ヶ月)
  5. 数字と言葉の金額の相違
  6. 修正されている小切手
  7. 支払い停止の指示を受けた小切手
  8. 小切手を振出す口座の閉鎖または法的に凍結

今回のチェック(小切手)の不渡りは、3番の先日付小切手では無く、1番の顧客の口座残高の不足、つまり資金のショート、、、と思ったのですが、そうでも無いようなのです。。。

不渡りになった小切手を取りに行く

不渡りになった小切手を取りに行くには、Cheque Deposit の機械に小切手(チェック)を入れた際に、小切手(チェック)のコピーが印刷されているレシートを銀行に持っていきます。

↓↓↓↓ こんな感じのレシート

そのため、小切手(チェック)を入れた際のレシートは、大切に保管しておく必要がある事と、あまりに遠い支店に小切手を持ち込むのは避けたほうが良いです。(旅行のついでに小切手を持ち込むとか。。。面倒な事が更に面倒になる。)

小切手不渡り用の窓口は無いので、順番の回ってくるのが早そうな窓口の番号札を取って待ちます。横から割り込んで銀行員に声を掛けるというのもありかもしれませんが。。。

そうすると、小切手(チェック)を扱っている担当者が出て来て対応してくれます。

不渡り小切手(チェック)の原因の確認

小切手(チェック)の画像つきの返却伝票 Image Return Document (IRD) を受け取る事になります。こちら資料に不渡りの理由が書かれていますが、原因を担当者に聞いておくのが良いです。

なお、こちらに添付した資料は、Image Return Advice (IRA) となっていますが、返却確認通知の事で同様の資料になります。確認したい部分は、返却の理由 (Reason for Return) の部分になります。

今回、不渡りになった小切手(チェック)は、『 Payment Stopped / Payment Countermanded 』となっています。これは、「支払いの停止・支払いの中止」の意味になります。

つまり、小切手(チェック)の振出人が、その小切手(チェック)をキャンセルして、支払い中止を銀行にオーダーした事を意味しています。


実は、この先日付小切手(さきひづけこぎって)、マレーシアならではの銀行の取扱の間隙をぬう様に悪用した方法が存在するのです。

その先日付小切手(さきひづけこぎって)のリスクとトリックは、次の記事『小切手のリスクと悪用トリック』に続く。。。

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